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世界に興味を持つキッカケは、友達を世界に作ること 中島 早苗 | フィリピン

自らを「行き当たりばったりなの」と笑って話すその明るい人柄には、周りの人々を巻き込む力がある。FTCJの代表として、世界中の子ども達を助ける活動を展開中。

■中島 早苗(なかじま さなえ)
1972年生まれ 女性
職業:NPO法人Free The Children Japan代表
初一人旅時期: 1997年9月 当時25歳
行き先: アメリカ

子どもによる子どものための国際協力団体、Free The Children Japan(以下FTCJ)。その代表として活躍する中島さんが海外に興味を持ったのは、ただの洋楽好きが過熱して、とのこと。興味を持ったボランティアと、世界という視野が交わった時―――。

国際協力の世界に飛び込み、FTCJを立ち上げるきっかけになったアメリカでの滞在経験と、世界に出ることの魅力について語ってくれました。

FTCJの取り組み

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-今はFTCJの代表として、フィリピンをはじめ世界の児童労働問題に取り組んでいると聞きました。

FTCJにはいくつかの活動があり、フィリピンはその1つです。ただ、最も古くから続いている活動の1つが、フィリピンでの児童労働に対する取り組みですね。

-なぜフィリピンなのでしょうか?

1つは、英語を公用語としてちゃんとコミュニケーションが取れる国だということ。フィリピンはその中でも地理的に近いですし、日本との関わりがすごく深いことも要因です。

-日本との関わり?

フィリピンでは、日本人の男性がよく買春しているという事実があります。最近は結構カンボジアにシフトしているところもあるんですが、1980-90年代は、会社の社員旅行などで日本人がフィリピンの風俗に行くことが多かった。そしてその時に、対象が幼い子供だったりすることもあって……。

-日本人が加害者になっているんですね。

そもそも、カナダでクレイグ君が Free The Children(以下FTC)を立ち上げた背景には、児童労働の問題がありました。クレイグ君が新聞で、自分と同じ年齢の子供たちが学校にも行けないで働かされていることを知り、そういった現状をまず何とかしたいという所からFTCという組織ができているんです。

-FTCは児童労働の問題からスタートし、世界に広がっていったんですね。

ですので、日本で活動を始めた時も「児童労働」は大きなキーワードになりました。それが課題になっている国はどこかという所から入っていくと、フィリピンの名前がまずあがった。特に日本人が直接加害者になっているという現状は、事前の調査の段階で結構話題になっていたのね。そうしたら運良く、性的虐待や搾取された子どもたちを実際に救出しているNGOを紹介してもらうこともできて。

-現地のNGOですか?

そうです。プレダ基金と言うんだけど、すごくいいNGOだからと聞いて紹介してもらったんです。そして実際に現地へ行ってみたら、女の子達が30人程救出されていました。いろんなケースがあったんだけど、中には日本人に買われましたっていう子もいました。

-深く傷ついているのでしょう。

それでも、自分は救出されて学校にも行けるようになって、そして将来の夢もできた、という子ども達の声を聞いたら、すごく感動したんです。プレダとパートナーを組んで、「一緒にできることを考えよう。私たちに何ができますか?」っていう所からFTCJは始まりました。フィリピンはそれ以来、ずっと支援していますね。

アメリカ行きの最初の理由は……

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-国際協力に興味を持つ前から、海外に興味があったんですか?

そうですね。アメリカやイギリスのアーティストが好きだったんです。1980年代って私は高校生だったんですけど、マイケルジャクソンのコンサートも行ったんですよ(笑)

-1980年代!

その頃の日本は、松田聖子さんとかアイドル全盛期だったと思う。けど私は、日本よりも海外の歌に興味がありました。マイケルジャクソンとかマドンナとかデュラン・デュランとか、まあ好きな人がたくさんいましたね。

-音楽がキッカケで世界に興味を持ったと。

英語に興味を持ったのも、歌詞を理解したいからでした。「英語を喋れるようになるとマイケルジャクソンのことがもっと分かる!」みたいな、普通の高校生の動機です。社会貢献とか国際協力っていう意識は全くありませんでしたね。

-その気持ちから、実際に海外へ行くことになるんですか?

英語を喋れるようになるにはその土地に行った方がいいだろうということで、アメリカに初めて行ったのが高校生の時。でもそれは夏のみの留学プログラムだったのですごく短かった。2週間くらいしか行ってないんですけど、そこですっごい衝撃を受けたんです。アメリカの大雑把さとか、広大な大地とか、家の広さとか。いろんな面で違いを感じて、本当にびっくりしましたね。

-憧れからスタートしたんですね。

それから社会人になって、最初はアパレルの会社に勤めました。学生の時にアルバイトで社会が出すゴミの多さに衝撃を受けていて、就職をする頃には環境保護とか国際協力の仕事をやってみたいなと感じていました。けど、すぐにNGOやNPOへ就職するのはなかなか難しいでしょ?まずは企業に勤めて、自分の興味も続いていれば、そういう方向に進みたいなと考えていました。

-アメリカに滞在していたということですが。

NGOやNPOに就職するにはどうしたらいいのかと考えた時に、海外でインターンするのが良いと思ったんです。経験だけじゃなく、語学力も必要でしたので。そうしたらアメリカに1年間のインターンプログラムがあって。

-それが、初めて一人で海外へ行った経験ですか?

そうですね。初めてアメリカへ行ったのは高校生の時なんですが、それは集団のプログラムって感じだったので。アメリカのEarth Island InstituteというNGOで働いた経験が、初めての一人での海外です。

-そしてそこから、今の中島さんに繋がってくるわけですね。

そうですね。アメリカでFTCに出会い、日本でFTCJを立ち上げるに至りました。

-いろいろな経験を経て、今の中島さんがいるんですね。

人種のサラダボウル

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-アメリカでの滞在は、どうでしたか?

ざっくりですね(笑)けど、すごくいろいろな経験ができて本当に良かったと思います。国民性の違いとかね。

-国民性の違い?

例えば、こんなエピソードがあります。
現地で知り合った、アメリカに留学に来ていた海外からの仲間たちとグランドキャニオンに旅行に行ったことがあるんですが、宿に行ったら予約が取れていなかったんです。ドイツ人が予約する担当だったんですけど、その彼があれこれとすごく言い訳するの。日本人は3-4人いたんだけど、「何それありえない!」って本当にケンカになって。

-日本とドイツ、どちらも固そうですね(笑)

そうなの。ブラジル人は隣で「雪生まれて初めて見た~」とかどうでもいいこと言って、泊まる所なんて全然気にしていなかったからね。

-他の国の人は?

スイス人が中立に立って、まあまあってなだめてくれました(笑)やっぱりスイスが間に入るんだなと思ったら、面白かった。

-いろいろな人種が集うアメリカでは、国民性の違いを強く感じることができそうです。滞在中に、何か危ない目に遭ったことはありませんでしたか?

小さい危険ならありました。アメリカで仲良くなった友達4人と、車でサンディエゴまで行ったことがあるんです。韓国人の男の子がドライバーをやってくれたんですけど、「運転大丈夫だいじょうぶ~」って言うわりには全然ダメで(笑)私たちの前の車(BMW)に突っ込んじゃったんですよ!

-それはピンチですね。

止まってる車にぶつかるという、こちら側が100%悪いやつです。たまたまそのBMWの運転手さんが日本人の女性だったから、日本語で話せたし何とかなったんですけど、あれは本当にやばいなと思いました。

-いろんな国籍の仲間との様々なエピソード。アメリカという国の雰囲気が伝わってきます。

旅してできる友達が、世界を身近にする

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-国際協力に興味を持ったからといって、実際にアメリカまで行って働いてしまう行動力がすごいなと思うんですが、どうしてそうできるんでしょうか?

うーん。私の母親がいろいろなボランティアをしていたというのはあるかもしれない。その影響で、それがあまり特別なことじゃないという認識があったのかもしれないですね。

-旅もそうかもしれないですね。何の抵抗も無く一人で普通に旅に出ちゃう人って、その人の周りにも同じように旅する人が多い気がします。

やっぱり身近な人がやっていないと、そういう芽ってなかなか出てこないのかもしれないですね。

-では、ボランティアや国際協力を「身近」にするにはどうしたら良いのでしょうか?

自然な形で世界を見られる「旅」っていうのは、すごく良いアプローチだと思いますね。

-自然な形で世界を見られる、というと?

世界に興味を持つ最初のキッカケっていうのは、世界に知り合いがいるとか友達ができるってことだと思うんです。FTCJでも定期的に中高生から参加できるスタディツアーを組んでいるのですが、実際にインドやフィリピンに行くとすごく刺激を受けるみたいなんです。自分と同い年くらいの子が働かされている現状を見て、何かやろうって思うのが、普通に「友達を助けよう」っていう所から始まっている子が多くて。それはすごく自然だし、いいなと思うんです。

-旅は、世界に興味を持つためのキッカケになるということですね。

旅をキッカケに世界の訪れた所に友達ができ、そしてその国のことを思うというのは、私たちが普通に「身近な友達のことを思う」みたいな感じで、すごく自然だと思います。だから旅から世界を見るっていうのは、すごく良いアプローチだと思いますね。

-私もそう思います。友達と助け合うっていう感覚が、旅によって世界というスケールに広がり、ボランティアや国際協力へと繋がっていけばと思います。

旅をして初めて学べる

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-今、旅に興味を持ちながらも、なかなかその一歩を踏み出せないという人が多くいます。

海外にもし一人で行くのが怖かったら、ツアーでもいい。日本を一度出るということは、凄く大きな価値があると思います。旅に出て、匂いや音などのいろんな刺激をリアルに受けて、そして初めて、訪れた国のことを学べるんだと思う。

-実際に肌で感じた学びは、一生のものになりますね。

だから、ぜひ勇気をもって、そして楽しんで、海外に行くという選択肢を選んでほしいと思います。海外に行ったら本当にそれだけの価値があると思うので、ぜひ行ってみてください!

-「人生が変わる可能性がある」というのは、すごくわくわくしますよね。中島さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。

(インタビュアー:新)

 

018_info

中島 早苗 Sanae Nakajima

ルート:サンフランシスコ
期間:1年間
費用:180万円程度
航空会社:デルタ航空

 

 

転載元:Travelers Box

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