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頭の中に世界地図を描き、世界を舞台に生きる 太田英基 | アメリカ【前編】

海外で働くノウハウをまとめた著書「日本がヤバいではなく、世界が面白いから僕らは動く」の出版、 フィリピン留学のための学校選びサポートサイト「School With」の立ち上げなど、グローバル社会の最先端を行く時代の寵児。 そのエネルギッシュな生き方に、誰もが引き込まれる。

■太田英基(おおた ひでき)
1985年生まれ 男性
職業:(株)スクールウィズ代表
初一人旅時期: 2010年9月 当時25歳
行き先: アメリカ(西回り世界一周)

「若者のグローバル志向の底上げ」をミッションに、世界で働く日本人にインタビューをしながらの世界一周プロジェクト“SAMURAI BACKPACKER PROJECT” を立ち上げた太田英基さん。カウチサーフィン(旅人を家に泊めたい人⇔旅先で現地の人の家に泊まりたい旅人 のマッチングサービス)やSNSを駆使して様々な人と出会い、世界のリアルを肌で感じる旅。 その中で身につけた、世界を舞台にする21世紀流の生き方とは?

人生を変えた問い、「真のグローバル志向とは?」

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-まさに「国際人」の先端を行くイメージの太田さんですが、海外には早くから興味をお持ちだったんですか?

学生時代に起業したので、大学生活はほとんど仕事一色でした。海外経験は、高校生の時に行ったニュージーランドの語学留学と、大学生で行ったインドくらい。毎年海外に行きたい気持ちはあったんですけど……。仕事が忙しくて無理でしたね。

-そこから世界への一歩を踏み出した経緯が気になります。

大学3年生のときに、マッキンゼー・アンド・カンパニーの方が主催した勉強会に呼ばれたんです。そこで、「真のグローバル志向とは何か」という話になって。

-どんなお話を?

当時の僕にとっての「グローバル志向」は、ビジネスで言うと「まず日本で始める。東京でやってみて、うまく行ったら他の地方に進出。日本での地盤を固めたら、アジアから徐々に海外進出」ということでした。でもその人は、「それは違う」と。

本当にグローバルなアクションを取る人というのは、良いアイディアが浮かんだら、例えば「これって東京じゃウケないけど、サンパウロでやったらうまくいくんじゃないか?」と思える人。「アルゼンチンで流行っているこのビジネスを、カナダに持っていってもうまくいくんじゃないか?」「これは仏教徒には合わないけど、アラブの国なら受け入れてもらえるんじゃないか?」と、初めから世界を舞台に物事を発想できる人だと言ったんです。それを聞いた瞬間、脳みそがスパークして(笑)

-新しい考え方に触れた瞬間ですね。

その発想は当時の僕にとって衝撃でした。自分もそういう人を目指したいと思いました。それで、人生計画を一旦全てリセットして立て直したんです。新たな目標は、「30歳までに世界で活躍できる人間になること」。そこから、そのために必要なアクションを考えました。

-まずは何から始めたんですか?

最初にやるべきことを3つ設定しました。まず、「英語を身につけること」。これは絶対です。英語から逃げ続ける人生に終止符を打たなきゃいけなかった。2つ目は、「世界中に仕事の相談ができる友人を作ること」。最後に、「自分の目で世界を見て、その土地のリアルなニーズを知ること」。

-そこから具体的な行動プランに落とし込んでいった、と。

最初に考えたのはMBAでした。留学すれば、世界中に友達が作れるし、英語力も身に付く。ただ、それでは世界のリアルを肌で感じることはできないと思いました。ベストなプランではなかったんです。

-3つの“やるべきこと”を満たすものが、世界一周の一人旅だったんですね。

考えていく中でふと、死ぬまでに絶対行きたいと思っていた世界旅行を、これにどうにか結びつけられないか?と思ったんです。うまくやれば、自分の手に入れたかったものを、世界旅行で手に入れることが出来るんじゃないか、と。

それで考えついたのが「SAMURAI BACKPACKER PROJECT」でした。実際にグローバルなアクションを取っている(海外で働いている)日本人にインタビューをしながら、自分自身も海外のリアルを追求していくという試みです。だからきっかけとしては、半分は直感で、半分は明確に旅立つ理由があった、という感じです。

-旅の期間はどれくらいを想定していましたか?

最初は1年くらいの予定でしたが、延びに延びて、最終的には全部で1年10ヶ月でした。

「Cafe Latte」が通じないところからのスタート

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-旅のスタートはどこから?

スタート地点はフィリピンにして、3ヶ月間の語学留学をしました。フィリピンの公用語は英語なので、まずはそこで英語をみっちり勉強しようと。その後、フィリピンで鍛えた英語力を試すため、アメリカに飛んで西回りで世界一周しました。

-フィリピンで鍛えた英語力は、本場アメリカで活かされましたか?

いや、見事なまでに自信が打ち砕かれました。もちろん、フィリピン留学の成果はあったのですが、幾度と無く実力不足を感じることに遭遇していました。ニューヨークのスターバックスで「カフェラテ」が通じなかったときはさすがにへこみましたね(笑)

-語学の壁は高いですね……。

そう、それから、知り合いに誘っていただいてシリコンバレーでとある企業のイベントに参加したときのことも印象深いです。30人くらいで水ビジネスに関するディスカッションをしたんですが、参加者が揃いも揃って優秀な人ばかり。ベンチャーキャピタリストとかスタンフォードの学生さんとか。

-どんな経験をされたんですか?

最初に、隣にいたインド人の女の子が手を挙げて、すごい勢いで喋り出しました。もう3割くらいしかわからない。その瞬間、もうその場で僕は何も存在価値を発揮できないんですよ。あれは悔しかったですね。自信を木っ端微塵に打ち砕かれましたが、今となってはあの経験があって良かったと思います。

-そこで諦めなかったから今があるんですね。

そういう思いをしたからこそ、成長を感じられた部分もありました。旅している間に英語を勉強していたかと思うと全然そんなことはなくて。ただ、自分より英語ができる人に、自分から必死に食らいついていこうと努力はしていましたね。

-成長を感じられたときというのは?

旅の序盤のほうにグアテマラでジャングルツアーに参加して、そこでイスラエル人の子と知り合いました。そのときは、ほとんど言っていることが理解できなかったんですが、縁あって1年後くらいにその子に再会したとき、ほぼ100%話していることがわかったんです。そのとき、少しは成長できたのかなと思いましたね。

出会いの価値をぐんと上げた“カウチサーフィン”

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-英語力の向上に加えて、「世界中に仕事の相談ができる友人を作ること」「自分の目で世界を見て、その土地のリアルなニーズを知ること」という目標設定があったと思いますが、そこはどうやってクリアしていったんですか?

僕は、カウチサーフィンをフル活用しました。カウチサーフィンとは、簡単に言うと、旅行先で誰かの家に泊まりたい人と、自分の家に人を泊めてもいいよという人とのマッチングサービスです。部屋を提供するだけではなくて、例えば半日一緒に過ごすとか、お茶だけ・ごはんだけでもOK。基本的に無償なので、お金をかけずに現地の人とたくさん出会うことができます。

-より現地の生活に近づけるんですね。

目標に近づくために、現地の人とできるだけ関わることを大事にしていました。大学生時代にインドに行ったときも色んな人に出会いましたが、だいたいが物乞いか観光業の人だったんですよね。インドはIT大国と言われているけれど、ITの「I」の字も見ていないな、と。

自分はインドの偏った部分しか見ていなくて、それでインドのことを語るのは失礼だと思いました。現地の普通に働いている人ともっと出会ってみたかった。世界一周に旅立つ前にちょうどカウチサーフィンのことを知って、これを使い倒していくしかないと思いました。

-カウチサーフィンでどんな出会いがありましたか?

この旅の中で、カウチサーフィンを通じて300人以上に出会ったので、良い出会いは数えきれないですね。例えば、スペインのバルセロナで家に泊めてもらった、IT企業に勤める女性。彼女の家は、もう超スーパー良い立地で(笑)日本で言う渋谷・青山みたいな、いわゆる首都の中の中心地。

-それだけでなんだか刺激的ですね!

部屋にはガイドブックが用意されていて、「何でも好きに使っていいよ」と。知り合ったその日に合鍵も渡してくれて。至れり尽くせりでしたね。1日話したらすっかり意気投合。1ヶ月でも2ヶ月もいて良いと言ってくれて、結局10日間お世話になりました。

-すごい!オープンですね。10日間、どんな時間を過ごしたんですか?

彼女は元々ヨーロッパのYahoo!やGoogleで働いていた人で、当時バルセロナでWEBマーケティングの仕事をしていました。だから仕事の話もおもしろい。ヨーロッパはあまり残業をしない文化なので、仕事後にいつも一緒にご飯を食べにいって色々な話をしました。宿代がかからない分、ご飯はいつもおいしいものを食べていましたね。

-おいしい食事と現地の人とのおしゃべり……旅の醍醐味ですね。

バックパッカーっていうと、お金がないからフランスパンかじるみたいなイメージがありますけど、それって本末転倒じゃないかと思います。せっかくなら現地のおいしいものを食べて、楽しく過ごしたいですよね。

-その方とは今も交流があるんですか?

この前、彼女が日本に遊びに来たんです。その時は僕が日本を案内しました。本当に良い友達ができましたね。カウチサーフィンの良いところを凝縮したような出会いでした。

その他にも、ナイロビの農村地帯の平屋に泊めてもらったりとか、普通ではなかなかできない経験もしました。カウチサーフィンのおかげで、まさにリアルローカルを体験できましたね。

-太田さんの旅において、カウチサーフィンはすごく重要な役割を果たしていたんですね。

はい、カウチサーフィンがなかったら、もう少し早く旅を切り上げて帰っていたかもしれない。長く旅をしていると、やっぱりダレてくる部分ってあるんですよ。景色に慣れちゃったり。でも、人に会うというのは毎回新鮮ですよね。行く先々で現地の人と会っていろんな話をするのが、一番のモチベーションでした。

-出会いに対してはすごく貪欲だったんですね。

旅での出会いというと、偶然の産物的なイメージが強いですが、僕は出会いは“つかみ取りに行く”勢いで行きました。イベントにも積極的に顔を出していましたね。ロンドンでソーシャルメディアマーケティングの交流会に行ったり、イスラエルのアントレプレナーイベントに行ってみたり。ネットで情報を調べて、色々な所に出没していました。

-さすが、アグレッシブ!

スマホも大活躍しました。現地でSIMカードを買って、自分のスマホに入れ替えて使っていました。カウチサーフィンのホストと連絡を取るのに必要だったのはもちろん、現地のイベントで出会った人とも連絡が取りやすくなる。人との出会いを増やすためにも、SIMカード購入は必須です。地域によっては、100円くらいで買えますよ。

-長期旅ならではのテクニックですね。参考になります。

あとは、せっかくスマホでのネット環境が整っているので、Twitterを使ったリアルタイムな情報発信も心がけていました。ケニアの長距離バスに乗っているときに猛烈な尿意に襲われて……。「尿意がやばい!」ってつぶやいたら、次々と「大丈夫ですか?」「頑張ってください!」とか応援のリプライが来て、励まされました(笑)

ちなみに、この旅で使ったスマホは4台。2台盗まれて1台無くしました(笑)

※後編は7月7日(月)に公開予定です。

 

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太田 英基 Hideki Ohta

ルート: 西回り世界一周
(北米→中南米→アフリカ→ヨーロッパ→中東→アジア)
期間: 1年10ヶ月
費用: -
航空会社: -

 

転載元:TRAVELERS BOX

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